第46期天元戦五番勝負第5局
2020 年 12 月 16 日掲載
第46期天元戦(新聞三社連合主催)五番勝負の最終第5局が16日、徳島市で打たれ、挑戦者の一力遼碁聖が、6連覇をねらう井山裕太天元に黒番中押し勝ちした。シリーズ3勝2敗とし、対井山6度目の七大タイトル挑戦で初めてタイトルを奪取した。
一力は1勝2敗のカド番から2連勝の逆転でシリーズを制した。芝野虎丸王座、十段を合わせて二冠と並ぶ二冠になり、規定により17日付で九段に昇段する。囲碁界は、七大タイトルでとくに上位にある名人、棋聖、本因坊を独占する「大三冠」の井山を軸に、若手ふたりが肉薄する構図が鮮明になった。
一力は七大タイトル初挑戦の2016年天元戦からこれまで井山に5度挑戦。17~18年の王座、天元、棋聖の3棋戦連続挑戦で勝ち星なしの10連敗を喫するなど、すべて退けられていた。終局後の取材に「井山先生にタイトル戦で勝つのがずっと目標だった。内容的にはまだまだだが、自分の力を出し切ることができたと思う」と話した。
井山は一昨年に七冠独占が崩れてから昨年までに三冠に後退したが、今年に入って復調。三冠同士の頂上決戦となった秋の名人戦では芝野からタイトルを奪取し、自身3度目の大三冠を達成した。絶好調の状態で天元戦を迎えたが、フルセットの末に一力に屈した。「全体に大事なところで精度を欠き、パフォーマンスに関していま一つだった」と話した。
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