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第59期十段戦第3局
許がシリーズ2勝目

2021 年 04 月 08 日掲載

第59期十段戦第3局 許がシリーズ2勝目

「大和ハウス杯 第59期十段戦五番勝負」(産経新聞社主催)の第3局が8日、長野県大町市の「ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」で始まった。同市での開催は2年ぶり27回目。 今期は防衛を目指す芝野虎丸十段に、初の十段奪取を狙う許家元八段が挑むシリーズ。牛越徹・大町市長らが見守るなか午前9時半、立会人の山城宏九段が定刻を告げると、黒番の許八段が右上小目に、芝野十段が左下星に応じた。白10カケツギが比較的珍しい手で、このあと右上から右辺にかけての着手が続いた。

第59期十段戦第3局 許がシリーズ2勝目

「白42では、打つ候補がいろいろあるところ。黒43と許八段が反発して激しくなりました」と解説の伊田篤史八段。

北アルプスの山々を望むイス席の対局室。着手するとき以外、背筋を伸ばしたままの芝野十段とは対照的に、スーツを脱いだ許八段は時折、イスの上であぐらを組み前かがみで盤面を凝視する。

午前中に81手まで進む速い進行になった。芝野十段は天ぷらうどん、許八段はカツカレーを昼食に取った。「左上と上辺の黒の間を今後、白がどう裂いていくかがポイントになりそうです」と伊田八段。今期は第2局まで、黒番が勝利している。

芝野十段は今月2日、本因坊戦リーグの最終対局で勝利し8人のなかで1位が確定、5月に開幕する井山裕太本因坊との七番勝負進出を決めた。もしこの一戦に敗れていたら6日に挑戦者決定プレーオフを行い、7日に移動、きょう8日対局という慌ただしい日程になっていた。

同市では2年ぶり27回目の開催となった本局は、序盤から右辺で白の死活をにらんだ複雑な戦いに突入。左辺白118から力強くシノぎ、白134まで芝野がうまくしのいだ。

下辺で許が黒175とコスんで難解なコウ争いが始まった。このあと上辺、さらに下辺でコウ争いになった。大きなフリカワリが2度起こったことに加え、たび重なるコウ争いで、同じ形が繰り返される「四コウ無勝負」となる可能性もあった。

残り1分の秒読みに追われる中、上辺黒267から273と冷静に打ってリードを守った許が、まれにみる乱戦を制した。

対局後、許は「時間に追われ正確に読み切れていたわけではなかった。スコアを気にせず、次も集中して打ちたい」と気を引き締めていた。敗れた芝野は「序盤に右辺で悪くして以降、チャンスはなかった。気持ちを切り替えて、次に臨みたい」と語った。