2024 年 12 月 01 日掲載
12月1日、第7回「呉清源杯・福建海峡銀行」世界女子囲碁選手権の決勝三番勝負最終局が中国・福州市の呉清源囲棋会館で行われました。上野愛咲美五段が中国の唐嘉雯六段に中押し勝ちし、2勝1敗で初優勝を飾りました。
国際舞台で大活躍
本局で勝利を収めた上野愛咲美五段は、日本女流棋士として初の呉清源杯優勝者となりました。上野五段はこれまでにも2022年の扇興杯世界女子囲碁最強戦で優勝し、今年の黄龍士杯では準優勝するなど国際舞台で活躍を続けています。また、男子世界チャンピオンの謝爾豪八段を撃破するなど、その競技力は高く評価されています。
上野五段の優勝は、一力遼九段が今年9月に応氏杯で優勝した快挙と並び、日本囲碁界の復活を象徴するものとなりました。この2つの優勝により、日本囲碁は中韓の二強時代から三国鼎立の新たな時代へと進んでいることを強く印象付けました。
常昊九段、日本囲碁界を祝福
表彰式では中国囲棋協会の常昊主席がスピーチを行い、囲碁界を祝福しました。
「本日は特に上野愛咲美五段が優勝されたことをお祝い申し上げます。これは日本の棋士が初めて呉清源杯のタイトルを獲得した快挙です。数か月前、応昌期杯の決勝戦の際に、日本の『読売新聞』の記者から取材を受けました。その時、『日本の囲碁レベルについて率直に意見をお聞かせください。私が日本の記者だからといって遠慮せず、正直な考えを教えてほしい』と言われました。」
「日本の囲碁はかつて非常に輝かしい時代がありましたが、この20年以上は低迷期にありました。しかし、近年になって日本の囲碁の成績には目に見える変化が見られます。特に若い棋士たちの成長が著しく、その実力が急速に向上しているのが分かります。そして、彼らの囲碁への愛情と情熱は非常に強いものがあります。これから必ず素晴らしい成績を残していくことでしょう」
「今年9月、応昌期杯という男子棋戦の最高峰で日本の一力遼九段が優勝しました。そして今回、女子棋戦の最高峰である呉清源杯で上野愛咲美五段が優勝されました。これにより、日本の囲碁界における男女のレベルがともに大きく進歩していることが示されたと思います。もちろん、中国囲碁協会の主席としては、中国チームがこのタイトルを獲得することを望んでいましたが、今回唐嘉雯六段も非常に素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。」
呉清源杯レジェント賞
中国の芮乃偉(ルイ・ナイウェイ)九段が「呉清源杯レジェント賞」を受賞しました。この賞は、囲碁界で卓越した業績を残し、多くの後進に影響を与えた人物に贈られる特別な栄誉です。