TOP | ニュース一覧 | 最年少棋士藤田怜央
韓国に短期留学
最年少棋士藤田怜央

2024 年 02 月 28 日掲載

日本最年少プロ囲碁棋士の藤田怜央初段 韓国に短期留学

日本最年少プロ囲碁棋士である藤田怜央初段(10歳)が、韓国に留学することが決まりました。来月3日に韓国でデビュー戦を行う仲邑菫(なかむらすみれ)三段(14歳)に続き、日本囲碁界の期待の星たちが相次いで韓国に向かうことで、注目を浴びています。

藤田初段は2013年4月に生まれ、小学校3年生の満9歳4カ月で、2022年に世界最年少プロ囲碁棋士となりました。満10歳でプロになった仲邑三段に続き、2人目の日本英才特別採用推薦棋士となりました。このため、日本最年少プロ囲碁棋士の座は、仲邑三段から藤田初段へと受け継がれました。

藤田初段は今年4月から、韓国の韓鐘振(ハン・ジョンジン)九段の道場で囲碁の修行を始める予定です。修行期間はひとまず3カ月間となっています。昨年末にはオープン大会「聞慶セジェ杯」に出場するために韓国を訪れ、約1カ月間滞在して韓国の囲碁に触れたことがきっかけとなりました。藤田初段は今年1月にも2週間ほど韓鐘振道場の寮で過ごし、韓国に対する愛着を深めています。

プロデビュー以降、藤田初段は9勝12敗の戦績を持っています。2022年は2敗、2023年は7勝10敗でしたが、今年は2勝(2024年2月22日現在)と上昇傾向を示しています。まだ5割の勝率には届いていませんが、特別な才能を発揮し始めています。

藤田初段は韓国を選んだ理由について、「朝早くから夜遅くまで囲碁の勉強に専念できること、レベルが高く、強い同年代の棋士が多いことがうれしい」と語っています。また、人工知能(AI)関連の教材などを学ぶ環境にも魅力を感じているとのことです。藤田初段の父である理学療法士の陽彦さんが彼のマネージャーを務めています。

一方、韓国デビューを目前に控えた仲邑三段も、移籍について、「韓国は強い棋士が多く、対局数も多い。より高いレベルの環境で勉強することが、今の私には必要だと思い、(韓国行きという)決断に至った」と語っています。

日本の英才特別採用推薦棋士制度を活用した2人の棋士が、いずれも韓国を目指す道を選びました。その違いは、仲邑三段が活動の舞台を完全に韓国に移す移籍生であるのに対して、藤田初段は先進的な技術を学ぶために留学する学生に近いという点です。

仲邑三段や藤田初段より前にも、多くの外国人棋士が韓国の囲碁界で経験を積んできました。例えば、日本の新鋭、福岡航太朗五段(18歳)は陽川デイル道場で修行し、韓国留学組出身です。日本に帰国後、2019年に入段し、第9回グロービスU-20杯で準優勝しました。福岡五段を育てた李勇秀(イ・ヨンス)八段は、「『韓国での生活がとても楽しい』と言って、予定期間を越えて5年近く滞在していた」と振り返っています。

また、大西竜平七段(23歳)も韓国の許壮会(ホ・ジャンフェ)道場とチュンアム道場で学びました。2015年に日本で入段し、翌年には最年少新人王に輝きました。日本のスター棋士である依田紀基九段(58歳)は、2人の息子を韓国に留学させました。次男の大空初段(20歳)は張秀英(チャン・スヨン)道場で修行し、2022年に入段し、三男の天心(13歳)もプロ入りを目指しています。さらに、日本の小池翔舞(12歳)なども長期・短期留学のために韓国の囲碁道場を訪れています。

日本はかつて世界の囲碁先進国として知られ、各国から期待の星たちが集まる場所でした。しかし、韓国からも趙南哲(チョ・ナムチョル)九段、金寅(キム・イン)九段、趙治勲(チョ・チフン)名誉名人、河燦錫(ハ・チャンソク)九段、柳時熏(ユ・シフン)九段など、多くの棋士が日本で経験を積んできました。現在では、韓国の囲碁は国際的な地位を高めており、「K囲碁」は韓国発祥の文化として広まっています。ただし、韓国では囲碁棋士志望者の減少により、一部の道場が廃業している現実もあります。韓国が国際的な囲碁のメッカとしての地位を確立するためには、国家的な支援が必要とされています。