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大阪こども囲碁道場小松師範
「東京に勝てるプロを輩出したい」

2019 年 07 月 09 日掲載

菫さんに続け 「東京に勝てるプロを輩出したい」大阪こども囲碁道場小松師範

囲碁の仲邑菫(なかむら・すみれ)初段(10)が8日、史上最年少で公式戦初勝利を挙げた。日本棋院関西総本部からわずか1・5キロ離れた「大阪こども囲碁道場」では同じ頃、プロの卵たちが、盤上を囲んでいた。

「僕も早くプロになって、菫さんのように手合いで活躍できるように頑張りたいです」。院生と呼ばれるプロの養成機関に通う小学6年生の男児は、目を輝かせた。

「大阪こども囲碁道場」は今年2月、大阪・北区の西天満のビルの一室にオープンした。6~19歳の約20人が勉強に励んでおり、その中には6人の院生も含まれている。師範代表で日本棋院関西総本部に所属する小松大樹三段(29)は「関西には毎日通える道場があまりなかった。トッププロが生まれる環境を作りたかった」と開講の動機を明かした。

道場では、棋力を磨くことはもちろんのこと、礼儀、マナーを身につけるように厳しく指導している。囲碁や将棋はスポーツと違い、自ら負けを認め、対局相手に頭を下げる投了という美学がある。小松三段は言う。

「負けを受け入れることは、子供にとっても非常につらいことだと思います。ただ井山(裕太四冠)先生もおっしゃっていますが、トッププロになっても勝率は7割。どれだけ強くなっても、必ず悔しい思いはする。一度の負けにクヨクヨせずに前を向いていくことは人生に通じることだと思います」

仲邑初段の誕生もあり、今春は入会希望の問い合わせなども増えたという。道場と同じビルには、プロ棋士たちが勉強のために集う研究室も併設。子供たちは師範以外のプロ棋士とも頻繁に対局できる環境が整っている。タイトル保持者の井山四冠、村川大介十段が、指導に当たることもある。

井山四冠、村川十段は関西が生んだ一流棋士だが、現在は数多くの棋戦で東京本院所属の若手棋士の活躍が目立つ。小松三段の夢は、トッププロを数多く育て、関西の層を熱くすることだ。

「とにかく心身ともに強い棋士を育てたい。東京に勝てる棋士をたくさん輩出することが僕たちの目標です」。菫フィーバーが一瞬で終わらないように、新たな力を囲碁界に送り出していく。