2019 年 03 月 02 日掲載
日本で開催される唯一の囲碁の国際女流棋戦「SENKO CUPワールド碁女流最強戦2019」が22日から24日まで、東京都千代田区の日本棋院で行われ、昨年初代のワールド碁女流最強に就いた中国の於之瑩(お・しえい)六段(21)が連覇を果たした。
於六段と韓国の崔精(チェ・ジョン)九段(22)による決勝は終始、難解な展開。両者はこれまで大きな舞台で何度も顔を合わせるなど、世界トップの座を争っている。優勝した於六段は「難しい碁だったが、勝つことができてうれしい。来年もまた来たいです」と笑顔を見せた。一方の崔九段は「最善を尽くすことができた」と話した。崔九段は、4月に最年少でプロ入りする仲邑菫(なかむら・すみれ)新初段(9)と先月、韓国で対局した。仲邑新初段が囲碁が盛んな韓国で修業したことによるもの。そのときを振り返り崔九段は、「小さい子と打つ経験はほとんどないが、彼女は強かった。日本にいい影響を与える存在になってほしい」とエールを送った。
3位決定戦では、台湾の黒嘉嘉七段(24)が佃亜紀子五段(47)に勝利。「昨年に続いて日本の最高は4位で申しわけないです」と落胆の佃五段。黒七段は「準決勝は惜しくも負けましたが、全体をみればまずまずの結果だった」と振り返った。黒七段は家族とともに来日しており、「京都でお寺をめぐり、大阪ではUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)にも行きたい」としばらく観光を楽しむよう。
24日は日本棋院内で大盤解説会も実施された。約150人の囲碁愛好家が、高尾紳路九段(42)と奥田あや四段(30)による解説を熱心に聞き入っていた。十段・名人・本因坊などタイトル獲得15期のトップ棋士である高尾九段は、台湾でモデル活動をし“美しすぎる囲碁棋士”と称される黒七段にも言及。「前日は応援していたのに負けてしまった。決勝に進んでほしかったなぁ。悔しくてヤケ酒を飲みましたよ、自分が負けたわけでもないのに…」など軽妙な雑談も交え、場内に笑いを起こしていた。
4人が出場した日本勢は万波奈穂(まんなみ・なお)四段(33)、上野愛咲美(あさみ)女流棋聖(17)、牛栄子(にゅう・えいこ)二段(19)が22日の1回戦で敗退した。