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40代棋士の就任は異例
武宮陽光六段を新理事長に選出

2024 年 07 月 10 日掲載

武宮陽光六段を新理事長に選出 40代棋士の就任は異例

日本棋院は、4月の棋士代表選挙で理事長候補者となった武宮陽光六段(47)を新理事長に選出しました。武宮氏は東京都出身で、父は「宇宙流」と呼ばれる棋風で知られる武宮正樹九段(73)です。彼は経営改革委員会を立ち上げ、財務状況の改善や会館の老朽化問題に取り組む意欲を示しています。

日本棋院の理事長には平成以降、外部の財界人や名誉称号保持者などの有力棋士が就任してきましたが、40代の棋士が理事長に就任するのは異例です。これまで理事長は外部から招聘されていたため、選挙で決まることはありませんでした。前回の理事長選出では、財界出身の団宏明氏が経営悪化を理由に辞任し、副理事長の小林覚九段(65)が理事長に就任していました。

日本棋院の経営状況は厳しいもので、事業収益が平成30年度の約30億円から令和5年度には約23億円に減少しています。また、タイトル戦でも最も長い歴史を持つ本因坊戦が規模や賞金額を縮小しています。

囲碁界は国際棋戦で中国や韓国に後れを取っており、その要因の一つが囲碁人口の減少です。2016年の国際囲碁連盟の調査によれば、中国では3千万人、韓国では800万人が囲碁のルールを知っている一方、日本国内の囲碁参加人口は350万人(日本棋院推計)にとどまっています。

新理事長には、国際棋戦で活躍できる棋士の発掘・強化だけでなく、さらなる囲碁の普及策の推進が求められています。