2024 年 04 月 30 日掲載
産経新聞社が主催する囲碁タイトル戦「大和ハウス杯 第62期十段戦五番勝負」の最終第5局が、東京都千代田区の日本棋院東京本院で行われました。
この対局では、挑戦者である井山裕太王座(34歳、碁聖)が初防衛を目指していた芝野虎丸十段(24歳、名人)に208手までで白番中押し勝ちし、シリーズ3勝2敗で6期ぶりの十段位返り咲きを果たしました。午後5時29分に終局し、持ち時間各3時間のうち残りは芝野十段1分、井山王座2分でした。
井山裕太王座は平成元年に大阪府東大阪市で生まれ、中学1年生のときにプロ入りしました。28年には囲碁界で初めて七大タイトルを独占し、29年には2度目の七冠を達成しました。30年には国民栄誉賞を受賞しています。七大タイトル獲得は通算60期で最多です。
井山裕太王座は「勝ち星で先行される難しい五番勝負で、最後は運がよかった。60期は意識していなかったが、一つ一つ積み重ねてこられてよかったと思う」と話しています。
この「大和ハウス杯 第62期十段戦五番勝負」は、2冠同士の対決であり、最終第5局を勝利した井山裕太王座が芝野虎丸十段を3勝2敗で破り、6期ぶりに十段位を奪取して七大タイトル獲得期数を60の大台に乗せました。
対局は序盤から右上で見慣れない形の攻防になり、芝野十段が右辺の白の弱点を狙って上辺から仕掛けていきましたが、井山王座も反発し戦線を拡大。難しい変化になるかと思われましたが、右辺は穏やかな形で治まりました。
昼食休憩を挟んで白は左辺、黒は下辺と囲いあった後、井山王座は白128を捨て石に下辺に着手。芝野十段も黒137と正面から受けて立ち、決戦模様に。黒141と白二子を取り切った手がやや疑問で、流れは白に傾いた。
井山王座は白142から完璧なさばきを見せて下辺の黒地を削り、左上の大ヨセに回り優勢になりました。芝野十段は黒157、159とコウ争いの勝負手を仕掛けましたが、井山王座も妥協せずに緩まず押し切りました。芝野十段は「下辺でこちらの攻めが続かず駄目にしてしまった。全体的に力が足りていなかった」と振り返りました。
特設ページ:第62期十段戦挑戦手合五番勝負