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第69期王座戦第4局
粘り光る芝野王座、勝って最終局へ

2021 年 12 月 03 日掲載

第69期王座戦第4局 粘り光る芝野王座、勝って最終局へ

3日朝から神奈川県秦野市の陣屋で打たれていた第69期囲碁王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負の第4局は午後6時17分、芝野虎丸王座が205手で挑戦者の井山裕太四冠に黒番中押し勝ちした。対戦成績は2勝2敗のタイとなった。勝者がタイトルを手にする第5局は12月9日、甲府市の常磐ホテルで打たれる。

序盤は芝野王座が下辺にスケールの大きな黒模様を張って始まった。左辺に焦点が移ったあと、王座は上辺で黒6子を捨て石にして戦果を上げる作戦に出たが、挑戦者は周りの白石を62から70で安定させることに成功。「白に不満なし」と石田芳夫二十四世本因坊ら検討陣はみていた。

王座は黒81、83から下辺の白の一団の攻めに転じる。「厳しい攻めで白に窮屈な生き方を強要できた上、黒125まで右辺を大きくまとめて黒が主導権を奪い返した」と解説の山下敬吾九段。さらに中央黒131が白の薄みを突く厳しい手だった。黒157まで中央左上の白5子を制して優勢を築き、最後は粘る挑戦者を冷静に振り切った。

山下九段は「中盤まで井山四冠の流れだったにもかかわらず、落ち着いて機をうかがった芝野王座の粘り強さが光った一局だった」と話した。