第58期十段戦五番勝負第1局
2020 年 03 月 04 日掲載
産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「第58期十段戦五番勝負」の第1局が3日午前9時半から大阪府東大阪市の大阪商業大学で行われ午後5時31分、挑戦者の芝野虎丸二冠が276手までで、村川大介十段に白番3目半勝ちし、初の十段獲得に向け先勝した。持ち時間各3時間で、残りは芝野2分、村川1分。第2局は26日に大阪市の関西棋院で打たれる。
立会人・清成哲也九段の合図で先後を決めるニギリを実施。村川先番で始まった対局は互いに序盤の研究が進んでおり、早い進行になった。上辺を厚くし、右辺でも黒35と頭を出した村川が、序盤を優位に打ち進めた。
左辺で黒81から難解なコウ争いが始まる中、午前中に88手まで進んだ。黒105とコウを解消したあと、芝野は下辺白106、108と力強く襲い掛かる。直後、黒109と妥協したあたりから、村川が悩む場面が多くなる。
形勢が揺れ動くなか、村川が右下隅黒137や、左上隅黒163と勝負手を放ち、大乱戦に持ち込んだ。
一方、芝野が上辺に踏み込んだ白180が「読む力にすぐれた芝野二冠らしい決断の一手」(解説の結城聡九段)で、流れを大きく引き寄せた。
このあと村川は粘り続けたが、芝野は冷静に対応。右辺白236と切って、勝利を手中におさめた。
対局後、村川十段は「読みが正確ではないように思ったので、しっかり鍛えて次を頑張りたい」、芝野二冠は「後半、乱れた部分もあったので、次は少しでもいい碁を打てるように頑張りたい」とそれぞれ話した。