本因坊戦第3局
2019 年 06 月 05 日掲載
北海道函館市の五稜郭内にある箱館奉行所で打たれていた第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第3局は5日午後6時34分、本因坊文裕(30)が挑戦者の河野臨九段(38)に289手で白番半目勝ちし、対戦成績を1勝2敗とした。持ち時間各8時間のうち残り時間は、河野13分、文裕10分。第4局は13、14の両日、静岡県沼津市の旧沼津御用邸で行われる。
河野が封じた黒65のツケから2日目の対局が始まった。文裕が白72と右辺で戦いを誘って新たな競り合いに入ったが、河野に攻め筋が多く、文裕が神経をより使う展開で推移した。河野は黒99と上辺に着手すると、右上隅の黒との連絡に成功して地を稼ぎ、控室は「河野優勢」とした。
しかし、文裕は下辺のスキを突いて白142から黒地に侵入し、さらに中央に白地を築いて一気に差を詰めた。最後は、長いヨセ勝負を制した文裕が逆転勝ちを収めた。
解説の鈴木伸二七段は「河野九段は取られている黒をうまく活用して局面をリードしました。文裕は、左下隅での黒の見落としを突いて差を詰め、最善を尽くして粘りました。逆転したのは最後の最後でした」と総括した。