第74期本因坊戦七番勝負第1局
2019 年 05 月 12 日掲載
岩手県大船渡市の「おおふなぽーと(防災観光交流センター)」で行われていた第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第1局は12日午後5時12分、169手で挑戦者の河野臨九段(38)が本因坊文裕(もんゆう、29)=井山裕太九段=に黒番中押し勝ちし、初の本因坊位獲得に向けて好スタートを切った。残り時間は河野38分、文裕45分。
1日目の最後に起こった右下隅の競り合いで、文裕が封じ手で白76とアテたのに対し、河野は隅で生きることに成功し、リードを奪った。河野が左下隅や下辺でも手堅く地を稼ぐ間に、文裕は左辺で白106、114の連打から左上隅で広大な地を手に入れ、混戦でヨセに入った。最後は、河野が中央の黒を捨てて下辺の白を取りに行ったのが好手順となり、文裕の追い上げを振り切った。
解説の趙善津九段は「河野九段が序盤からリードを奪いましたが、その後堅めに打ったため際どい勝負になりました。黒155のハネ出しが読みの入った絶妙な手でした」と話した。
第2局は22、23の両日、甲府市の山梨県立文学館で打たれる。
河野臨九段の話 序盤の作戦に自信はなく、遅いかもしれないけど厚いからそれなりに勝負になると思っていた。中央でいい手が見えて勝ちになったと思った。
本因坊文裕の話 序盤途中までは予定通りだったが、1日目で少し悪くした。際どくなったと思ったが黒155のハネ出しがいい手で、正しく打たれたら負けだと思った。