【ニュース】【産経新聞】井山三冠、持ち時間巧みに使い先勝
第45期名人戦七番勝負の第1局が25、26の両日、東京都文京区で行われ、挑戦者の井山裕太棋聖(31)=本因坊・天元=が275手までで、初防衛がかかる芝野虎丸名人(20)=十段・王座=に白番1目半勝ちし、3期ぶりの名人獲得へ向け発進した。第2局は9月15、16日に兵庫県宝塚市で打たれる。
3冠対決第1ラウンドは、井山棋聖が制した。「1日目が終わった時点では、まだよくわからなかった。(相手の手は)厳しかった」と振り返った井山棋聖は「まだ始まったばかり。少しでもいい状態で第2局に臨めれば」と話した。
一方、昨年、名人を奪取し初めての防衛戦に臨んだ芝野名人は「あらためて(戦うには)大変な相手であると感じた。第2局まで時間があるので、気持ちを切り替えて頑張りたい」と前を向いた。
十段と王座をあわせもつ芝野名人と、本因坊・王座も保持する井山棋聖との3冠同士の対決である今回の名人戦七番勝負は、“新・旧最年少名人対決”でもある。
井山が自身2度目の挑戦で初めて七大タイトルを奪取したのが、平成21年の第34期名人戦だった。前期(第33期)敗れた張栩(ちょう・う)九段にリベンジし、20歳4カ月の史上最年少での名人=七大タイトル獲得だった。
元号が変わって、その記録を塗り替えたのが芝野名人。初の七大タイトル戦である昨年の第44期名人戦に登場すると、張九段を破り19歳11カ月で名人を獲得したのだ。
続く王座戦五番勝負にも登場した芝野名人は、4冠保持者だった井山王座と七大タイトル戦で初対決。3勝1敗で下し2冠になった。
今年6月に決着した第58期十段戦五番勝負で、前十段の村川大介九段に勝利した芝野名人は、史上最年少(20歳7カ月)・最速(プロ入り5年9カ月)での3冠になった。しかし6~7月にあった本因坊戦七番勝負では、井山が4勝1敗で勝利、9連覇を果たしている。昨秋の王座戦は持ち時間が各3時間、今夏の本因坊戦は2日制で持ち時間各8時間。考慮時間が異なる七大タイトル戦で、両者1勝1敗。
今回の名人戦は2日制で持ち時間各8時間の長丁場だ。序盤からじっくり考える井山棋聖は、時に記録係に「58秒、59秒…」とギリギリまで読まれながらも冷静に対応。一方、ポンポンと打ち進める芝野名人は1時間9分も考慮時間を残しての決着だった。
「同じ3冠といっても、並んだとは思っていない。挑戦者の立場で向かう」と話す芝野名人が第2局以降、巻き返すことができるか。
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